高齢者が転倒した際、すぐにケガや痛みを伴えば周りの人がそれに気づき、応急処置を施せます。しかし、転倒時には何も感じなくても数時間後、数日後に大変な状態になってしまうことも少なくありません。そのため、転倒している場面に遭遇したら、まず観察すべきポイントがあります。
一番に確認したいのは、「意識の有無」です。声掛けをして返事をしっかりと返せれば、まずは一安心です。反応がなかったり、意識が混濁していたりする場合にはすぐに救急車を呼びましょう。次に、外傷があるかどうかを観察します。本人に意識があれば、どこか痛いところはあるか、どこをぶつけたのかを訊ねます。出血や変形している部位がないかを全身くまなく観察しましょう。もし強い痛みを伴っている場合には、骨折している可能性が高いため、安全な場所であれば無理に動かなさい方が良いです。
特に目立った外傷がなければ、手足が通常通り動くかを確認します。曲げにくい箇所があれば、その部分は動かさないようにします。さらに、吐き気や気分の不調がないかどうかも確認し、少しでも不調があれば病院に向かうように促しましょう。
一通り確認できたら、バイタルチェックも忘れないようにしましょう。転倒後すぐは、血圧が高くなっていることがあります。少し落ち着いてから脈拍をとり、救急車を呼んだ場合には救急隊員に伝えます。転倒から数日経ってから、バイタルが乱れ始める可能性もあるため、しばらくは様子を見ておく必要があります。