実際に介護施設で起こった高齢者の転倒事例として、「送迎者からの転倒」という事例があります。送迎バスで施設に利用者が到着した際に、降車時に足を踏み外してしまったというものです。普段の歩行には問題のない方でしたが、さまざまな要因により転倒事故が起きてしまいました。要因の一つとして考えられるのが、「スタッフの声掛け」です。普段は普通に歩けていることもあり、ステップを降りる際にも当事者もスタッフも特に注意をしていませんでした。しかし、どんな状況でも段差を降りる、上るといった動作をする時には「注意してください。」と一言声をかける必要があるのです。
また、つかまっていた手すりが滑りやすいものだったことも要因でした。ふらつきやすい高齢者にとって、手すりは命綱のようなものです。フラッとした時に捕まった手すりが滑りやすくなっていては意味がありません。滑り止めテープを巻き付けておくなどの対策を施しておくのがベターでしょう。
利用者も移動先から施設に到着し疲れていて早く施設に入りたかったり、トイレに行きたいという場合もあるでしょう。焦りから注意力が欠けてしまうことも転倒へのリスクに繋がります。移動先から出発する前には必ずトイレに行っておきましょう。到着したら「ゆっくり行きましょうね」などと声掛けをして利用者の焦る気持ちを静めるのもポイントです。
高齢者の転倒には、内的、外的さまざまな要因が考えられます。転倒は骨折や寝たきりなど大きなリスクを伴いますので、一度発生したら原因を追求し再発防止に努めなければなりません。